平成20年度 《特別講演会》 内容

−『資源・エネルギー』『環境』『産業・経済』の融合−

我々は、地球規模での「環境保護」「資源・エネルギーの有効利用」「産業・経済の発展」という複雑に絡み合う3つの要因のバランスを保ちつつ、いかに未来を切り拓いて行くか、の難問を抱えています。
本会では、この難問に対し、各々の要因における最新技術動向や法律問題、産業界や国の取組み等々を取り上げ、これまでに「地球環境問題へのスーパーコンピュータの応用」「地球シミュレータ計画」「燃料電池」「微量化学物質を検出する携帯型バイオセンサー装置の開発」「環境税導入の日本経済・エネルギーに及ぼす影響」「光触媒技術の最新動向と応用分野」「省エネ評価手法の開発」etc…の講演会・シンポジウムなどを開催し、藤嶋昭先生((財)神奈川科学技術アカデミー理事長)、伊藤利朗先生(三菱電機叶齧ア取締役)、三菱電機増島勝先生(TDK椛纒\取締役専務)や産業技術総合研究所、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NED)、理化学研究所、宇宙開発事業団、日本原子力研究所など産・官・学から多くの諸先生方に御協力を頂戴してきました。
本年は、次の通り開催します。


T.資源・エネルギー
 テーマ:循環型社会に求められる廃棄物の再資源化技術
 講 師:川 本  克 也 先生
      独立行政法人 国立環境研究所 資源化・処理処分技術研究室 室長

【講演概要】
廃棄物は、さまざまな社会の活動、人の日常生活における物の流れにともなって大量に発生する。我が国の年間実質収支からは、19億トン強にのぼる物質投入のうち約半分の量が建物やインフラ施設として蓄積すると推定され、いずれは廃棄物化する。一方で、生活や生産活動から日々排出される廃棄物の処理を進めると同時に物質やエネルギーの再生を図り、発生抑制と共に再利用・再生利用を並行させた取り組みが現実的と思われる。また、
地球温暖化対策が全ての分野で急がれる今、バイオマスなどの利活用を推進し、CO2
の排出削減を進めることが急務である。我が国の場合、バイオマスの多くは廃棄物系バイオマスであり、廃棄物処理に係わる側からの取り組みが求められる。
このような状況を踏まえて、循環型社会の形成・実現という命題を与えられたときに廃棄物処理にどのような展開の方向性があり、実際にどのような事例が現れているのかを見ることによって、近未来の廃棄物再生資源化技術を考えると伴に、それに伴う課題を詳述。


U.環  境
 テーマ:新資源コールベッドメタン開発とCO2貯留
 講 師:島 田  荘 平 先生
      東京大学 大学院 新領域創生科 環境システム学専攻 准教授

【講演概要】
石炭は、木材から亜炭、褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭と石炭化が進行して生成される
が、その過程で水分とメタンを放出する。このメタンをコールベッドメタンと呼ばれ、地
上からの坑井掘削により効率的に回収すれば天然ガス資源として利用できる。
現在、米国で生産される天然ガスの約9%がコールベッドメタンによって供給されている。
コールベッドメタン回収ではメタンを生産する一方で同時にCO2を炭層内に固定(貯留)
できる。これが、CO2の炭層固定(貯留)方法である。このコールベッドメタン開発技
術、日本や世界各国のプロジェクト、経済性などと共に、CO2の地中貯留、海洋貯留、
工業原料、人工栽培などに使用し、大気放出を避ける貯留および分離・回収技術について
詳述。


V.産業・経済
 テーマ:ナノテクノロジーの社会受容に関する取り組み
 講 師:竹 村  誠 洋 先生
      独立行政法人 物質・材料研究機構 企画部国際室 室長

【講演概要】
ナノテクノロジーは、社会に多大な恩恵をもたらす技術として期待され、世界各国で科学技術政策の重点分野として位置づけられた。その反面、ナノテクノロジーの健康・環境リスクなど、社会的影響に対する懸念も少なくない。今や科学技術政策の重点分野とする大半の国で、ナノテクノロジーの社会受容は国家プログラムとして位置づけられている。
ナノテクノロジーの社会的影響に関する課題は、環境・健康・安全関連と倫理・法・社会関連の二つに大別される。環境・健康・安全関連の至近の最重要課題は、ナノマテリアルの健康・環境リスク評価管理が挙げられる。
ナノテクノロジーの社会受容に関する取り組みは、将来の社会にとっての利益をより大きくし、一方でリスクをより小さくし、またリスク不安を適切に抑えるべく進められている。
まず、ナノマテリアルの健康・環境リスクを中心に、ナノテクノロジーの社会的影響に関する議論について述べ、次に社会受容に関する日米欧の取り組み、および国際協力について紹介し、最後に日本の取り組みに必要とされる点を抽出して詳述。


☆ 開催日時 : 平成20年6月8日(日)  A.M10:00〜P.M5:00

☆ テ ー マ : T.循環型社会に求められる廃棄物の再資源化技術(A.M10:00〜P.M12:00)
         U.新資源コールベッドメタン開発とCO2貯留  (P.M12:45〜2:45)
         V.ナノテクノロジーの社会受容に関する取り組み(P.M3:00〜5:00)

☆ 会  場 : 東京八重洲ホール(会場図はここをクリック)  301号室
         東京都中央区日本橋 3-4-13 03-3201-3631

☆ 定  員 : 100名(スクーリング希望の場合)  定員になりしだい締め切ります。
         なお、通信で受講の方は6月末日までに収録テープ、資料等を送付します。

☆ 申込期限 : 平成 20年5月30日

☆ 受 講 料 : 会員=無料